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住まいの防犯

増加・凶悪化する犯罪

諸外国の犯罪検挙率 「水と安全はタダ」と言われ、高い治安水準を誇りにしてきた日本。しかし、刑法犯罪は急増し、過去の「安全神話」は崩壊しています。新聞記事のニュースは、もはや他人事ではありません。
犯罪の急増に伴い、日本は主要5カ国の中でアメリカと並び、最も検挙率の低い国となっています。家族や住まいの安全は、自ら守る時代です。こうした時代に対応するために、まずは防犯意識を見直し、住まいづくりの段階から防犯対策を考えることが必要です。

進む犯罪の凶悪化

居直り、押し込み、緊縛強盗が増加

侵入盗の種類と割合住宅のへの侵入盗には①不在の住宅に侵入する「空巣」、②夜間の家人が寝静まった住宅に侵入する「忍び込み」、③家人が昼寝・食事のスキに侵入してくる「居空き」があります。これら侵入盗は基本的に「見つかったら逃げる」のに対し、最近は①居直り強盗、②押し込み強盗、③緊縛強盗などの侵入強盗事件が多く発生するようになり、「犯罪の凶悪化」が目立ちます。

狙われやすい住宅とは?

泥棒はリスクの少ない住宅を狙う

狙われやすい住宅の例侵入盗は、行き当たりばったりに住宅に入って来るのではありません。入念に下見を行ったうえで行動を起こします。捕まりたくないですから、狙うのはリスクの少ない住宅です。具体的には、次のような住宅が狙われやすい住宅と言えます。

  • ①敷地の中に簡単に入ることができる
  • ②敷地に入れば外から見えない
  • ③窓・ドアの開口部が脆弱

また、簡単に留守を悟られる家が狙われやすいようです。例えば、カーテンを引かずに外出して、気づいたら居室が外からまる見えだった、ということはありませんか?
また、何日か家を空けるとき、新聞がポストいっぱいに溜まっていたり、夜になっても洗濯物を取り込んでいなかったりすると、泥棒に不在を気づかれがちです。留守番電話に「ただいま留守にしております」と吹き込むのも避けた方が良いでしょう。

侵入の手口

ガラス破り、無締まり開口部からの侵入が多い

侵入盗の手口と侵入口では、侵入盗はどこから入ってくるのでしょう?
侵入手口としてはピッキングが有名ですが、これは集合住宅で多い手口です。一般の一戸建住宅においては、窓ガラスを割り、クレセントという窓の鍵を開けて入ってきます。また、「ウチは鍵なんてかけたことがない」と話される方がまだまだ多いようですが、無締まりの開口部からの侵入が30%もあることがわかります。窓を割ってクレセント錠をはずす様子

住まいの防犯対策

侵入盗の嫌う4大要素を活用

以上を踏まえ、住宅の防犯対策を考えていきましょう。
まずは、「狙われにくくする」。侵入盗は必ず下見をします。スキのない外構計画や設備を配置することで、狙われにくくすることが防犯対策の第一歩です。
次に「侵入されにくくする」。狙われてしまった場合、ガラス破りや不正開錠などの侵入手口の対策を講じて、侵入されにくくする工夫が必要です。
そして、「異常を知らせる」。万が一、侵入されてしまった場合には、近隣者や家族の携帯電話などに異常を知らせて助けを求めることが必要です。そのために、①音、②光、③人の目、④いかに時間をかけさせるか、という侵入盗の嫌う4大要素を活用します。
以下に、具体的な防犯方法を場所ごとにまとめます。

<敷地まわり>

外構の形状や照明の取り付け位置に注意します。

1.門が外から開けられやすい
⇒門扉にも鍵を付けましょう。
2.門扉や生垣で見通しが悪い。
⇒簡単に乗り越えられない高さで、見通しの良いデザインの門扉を取り付けましょう。
3.玄関まわりが暗い。
⇒侵入者を感知するとライトで威嚇できるセンサーライトの採用が有効です。門灯を点灯しましょう。
4.駐車場が隠れ場所となる。
⇒まずは死角をつくらないこと。どうしても死角となりそうな車庫や庭には、ライトを設置しましょう。
5.2階への足場がある。
⇒物置やエアコンの室外機は、バルコニーや2階に上がる足場にならないよう、家から離して設置しましょう。
6.ベランダに人が隠れていてもわからない。
⇒バルコニーに侵入者が隠れていても誰かが気づくように、見通しの良いデザインを選びましょう。

<ドア>

基本は「ワンドア・ツーロック」です。

1.ワンドア・ツーロック
⇒補助錠の取り付けが有効です。
ドアの補助錠とピッキングに強い鍵例2.ピッキングされにくい鍵に。
⇒ディンプルキー、ウェブキーが有効です。
3.室内側サムターンを回されないように。
⇒サムターンカバー、ロックカバーの取り付けを考えましょう。
4.ドアの隙間にバールなどを差し込み、施錠部を強引にこじ開ける手口があります。
⇒ガードプレートを取り付けましょう。

<窓>

防犯ガラス侵入までの時間をかせぐ方法を考えます。

1.ガラスの強度を上げる。
⇒2枚のガラスの間に特殊な中間膜を挟んだ防犯ガラスが効果的です。同様に、今使用しているガラスに防犯フィルムを張ることも有効です。
2.サッシの鍵を強化する
⇒1つの窓に2つ以上の鍵を取り付けましょう。補助錠は、クレセントから離して付けましょう。
防犯ガラスの特徴3.窓を守る設備をつける
⇒窓に面格子・雨戸・シャッターなどをプラスしましょう。

まとめ

100%の防犯対策はない

どのような防犯機器を取り付けたとしても、それで完璧な安全が保障されるものではないということを、きちんとユーザーに説明しておく必要があります。いくら高いお金をかけてシステムを導入しても、泥棒に入られないとは言えないのです。きちんと戸締りすることはもちろん、留守を悟らせない工夫や、日ごろから近所づきあいを大切にして、地域をあげて防犯に取り組むなど、日常の心構えも併せてアドバイスすることが大切です。
常に防犯意識を持って自ら備える姿勢が必要です。我が家の守りは自己防衛が基本なのです。

参考文献
【ナイスビジネスレポート2005年8月15日号より抜粋】